詩恩side



「今日はよく星が見えるな~」

「そうだね」



9月下旬。只今、兄と屋上で星空を観察中。


時々聞こえる虫の鳴き声と、頬を撫でる涼しい風が秋を感じさせる。


とはいえ、日中はまだ暑いので、梅雨の時みたいに油断して風邪を引かないように、季節の変わり目は今まで以上に体に気を遣っている。



「あれから詩恩の言いつけ守って、友達を家に上げる回数減らしたよ」

「良かった。あ、女の人は上げてないよね?」

「もちろん。1度もないのでご安心を」



たわいもない話をして笑い合った。

こうやってゆっくり話したの、久しぶりだな。


兄は夏休みのお泊まり会をきっかけに、光野さんと連絡を取るようになったらしい。


話によると、レシピを教えてもらって料理のレパートリーが増えたんだとか。

最近は魚料理にハマっているんだそう。


自分もお泊まり会の後、兄と連絡する頻度が増えた上、少しずつだけど、親に自分の意見を言えるようになった。

照れくさくて言えなかったけど、助言してくれた明莉には心から感謝している。