「嫌だったよね。本当にごめん」

「いいよ。ちょっとビックリしたけど、嫌じゃなかったし」

「え? 本当?」

「あ、口だったら話は別だけどね」



いつもの意地悪な笑顔。

いつもは腹立っているけれど、今はなぜかその笑顔にホッとしている自分がいる。



「嫌じゃなかったんなら、どうしてドキドキしないの?」

「わかんねーよ。今まで初恋以外で恋愛感情抱いたことないし」

「え! 詩恩も初恋あったの⁉ いつ? どんな子?」



口が滑ってやらかした顔をしている彼に、身を乗り出して尋ねた。

詩恩のハートを射止めた女の子……!
一体どんな子なんだろう……!



「小6。シャイでおとなしい性格で、笑顔が可愛い子」

「へぇ~!」



なるほど。
普段はあまり笑わないけど、照れた顔が超絶可愛いってイメージかな?

キャー! 想像したらテンション上がってきたー!



「会ってみたいなぁ~! 同い年?」

「うん」

「今も好き?」

「……ん。そういう明莉は? 初恋相手はどんな子だったの?」



えええ⁉ 私も⁉

どうしよう。
「今、私の目の前にいる子だよ♡」なんて絶対言えない……。