ドア越しに兄に返事をし、すぐお風呂に入れるように着替えを準備。

再びリビングに向かうと、中から笑い声が聞こえてきた。

少し開けてそっと覗くと、光野さんと兄が楽しそうに話している。


健と明莉がいないんなら、どっちかがお風呂に入ってるっぽいな。



「わ……っ! ビックリした……」

「それはこっちのセリフだよ!」



振り向いた先に明莉がいたので咄嗟に口を押さえた。

明莉がここにいるってことは。



「今、健が入ってるの?」

「うん。その後に私と千夏で一緒に入ることになったよ。時間短縮になるかなって。それより中に入らないの?」

「あぁ……今邪魔しないほうが良さそうだから」



小声でコソッと答えると、明莉もドアを開けて中を確認。

あれ? てっきりニヤニヤするのかと思ってたのに。
なんで気まずそうな顔してるんだ?



「…………から」

「ん?」

「千夏は悪い子じゃないから……」



すると、いきなり俺の両腕を掴んで、「許してあげて……」と消え入りそうな声で呟き始めた。


は? どういうこと?

その言い方、俺が光野さんに怒ってるみたいじゃねーか。

あ……さっき「顔怖い」って健が言ってたからなんか勘違いしたのか?