詩恩のお見舞いに行き、無事、シャツを返却した帰り道。



「詩恩って、ひとり暮らししてるの?」

「うん。たまにお兄さんが帰ってきてるらしいけど、基本1人だって」



詩恩の家は、まるでモデルルームみたいに広く、綺麗に片づいていて、生活感が全くなく、驚く程静かだった。



「ご両親は?」

「仕事で海外を飛び回ってるって。年末年始とお盆は帰ってきてるらしいけど……」

「そうなの⁉」



昔、夏休みから春休みまでプラネタリウムに行ってたけど、毎回詩恩のお母さんも一緒だった気が……。



「うん。小学生の時も海外出張はあったらしいけど、中学生になってから海外を飛び回るようになったって聞いた」

「じゃあ、お兄さんとふたり暮らししてたってこと?」

「うん。でもお兄さんが塾に通ってて。帰りが遅かったからずっと1人だったんだって」



そういえばぐったりしていた時、『兄さん』って寝言で呟いていたっけ。

お兄さんの夢を見るくらい、寂しい思いをしてるのかな……。



「あぁでも、GWは家族全員で過ごせたって言ってたよ!」

「そうなんだ……」



なら良かった。
でも……全然知らなかったな。私も同じ友達なのに。