「これわたしのものなんだけど、これで良ければ……汚れちゃってるやつよりはマシかな?」



そう言って、差し出されたパンフレット。



「ありがとう、ございます」


「どういたしまして!」


「……っ」



ニコッと微笑む先輩。


何これ。


胸がドクッと大きく波を打つ。



「綾瀬ー、打ち合わせするぞ」


「はーい! じゃあ、見学楽しんで行ってね」



先生らしき人に呼ばれた"綾瀬さん"という人は、落ちていた汚れたパンフレットを持って行ってしまった。



「説明会始めます! 皆さん体育館の中へどうぞ」



立ち尽くしていた僕は、その案内の声を聞いてハッとする。


なんだったんだ、今の。


困惑したまま、体育館へと入った。