「初花先輩っ、藤ヶ谷先輩っ! おはようございます!」


「やっぱり(あや)ちゃん、一番乗りだね」



わたしがそう微笑みかけると、「もちろんです」と元気に返してくれる。


生徒会室が明るいのは、きっとこの子のおかげ。


高校2年生になった、椎名 絢ちゃんは生徒会の会計係。


数学が強い絢ちゃんには、ピッタリの役職だ。



「アイツはまだ?」



藤ヶ谷くんが"アイツ"と呼ぶのは、絢ちゃんと同じ高校2年生の生徒会メンバー。


書記をお願いしている、島元(しまもと) 煌牙(こうが)くん。



「煌牙は起こしに行ったんですけど、寝坊したって……本当にすみません」



絢ちゃんと煌牙くんは幼なじみで、家も隣同士。


今日も家まで迎えに行ったみたいだけど、残念ながら出てこられなかったらしい。