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「だから、無理しないでって言ったのに」



大きくて温かい背中。



「……ごめんね」



頭が痛い。

体中が熱くて、クラクラする。


意識が朦朧とする中、反射的に謝った。


あまりわたしに振動が来ないように、ゆっくりと歩いてくれている。


そのおかげで背中の上が心地よくて。



「綾瀬先輩、もっと僕に頼って?」



天馬くんの優しい声がまるで子守唄のように聞こえる。


とても安心する声。



「僕が先輩を守るから……先輩?綾瀬先輩?」



綾瀬会長と呼ばれるよりも、綾瀬先輩って呼ばれる方が好き。


なんだか天馬くんと近くにいられるような気がするから。



「早く元気になって、綾瀬先輩」



何度も夢の中で名前を呼ばれたけれど、重い瞼はそのまま閉じて、深い眠りについた。