「で?俺をみて思い出したのか」

「あ、ううん。じつはそうじゃなくて」

「そうじゃない?」

「えっと……告白大会、って知ってる?」


その瞬間、加賀屋くんはさっきよりもずっとしかめた。



「去年いやってほど呼ばれた。あんな企画なくしたらいいのに」

「はは……まあ、人気企画だから」


文化祭でいちばん楽しみにされている企画といっても過言ではないだろう。



「たしかに加賀屋くん、いっぱい呼ばれてたよね。途中からステージ脇に控えてなかった?」

「そうだけど、よく覚えてんな」


わたしは曖昧に笑って頷いた。


正確にはその大会、わたしも出てて。

自分より前の人たちのは覚えてるんだよね。



そこで、加賀屋くんがなにかを思い出したように口をひらいた。



「たしか最後のほう、八尾も呼ばれてなかったか?」


どきり、と心臓がいやな跳ね方をした。