触れられている場所が熱を持って熱い。
 皓也の唇や吐息が指に触れるたびに心臓の鼓動が早くなる。

「何て顔してんの? ヤバ過ぎ」

 って言われても、どんな顔かは自分じゃ分からないよ。


 皓也はわたしの左手を離すと、腰に手をまわしてきて抱きしめた。

「こ、皓也?」

 嫌ではない。
 でも突然の抱擁(ほうよう)に驚いた。


 皓也は片手をわたしの頬に当て、視線を合わせる。
 真剣な、深い海の様な色の瞳が飛び込んでくる。

「先()されたけどさ、言わせて欲しい。……俺、そうびが好きだよ。多分、そうびより先に好きになった」
「え……」

 告白に、頭が真っ白になった。

「初めて会った時から可愛いと思ってた。同じ家で過ごしてて、いつもそうびを探してることに気付いた。そうびのこと好きになったら、吸血欲求が強くなるのが分かりきってたけど止められなかった。俺は最初からずっと、そうびを求めてたんだ」

 真っ白になった頭に皓也の言葉が染み渡るように広がる。


 それは、わたしと同じ。
 自覚したのは皓也より後だと思うけど、初めから皓也を求めてた。


 嬉しさが込み上げて来る。
 苦しいくらい胸がいっぱいで、言葉が詰まる。

 でもこれだけは伝えたかった。

「わたしも……皓也と同じ、だよ。わたしも、皓也を求めてた」
「っ!」

 伝えると、皓也が息を詰めた。

 腰を抱く腕の力が強くなって、顔が近付いて来る。

 わたしは前と同じようにゆっくり(まぶた)を閉じた。


 唇が触れ合う直前で、皓也はひっそりと告げる。

「そうび、好きだよ」

 そして優しく唇が重なり合った。