「……なあ、それって」 何か言いかけた絢斗くんはそのまま口を噤んでしまって、不思議に思って顔を覗き込む。 「絢斗くん?」 「……いや、何でもない。会えるといいな」 なんだか寂しそうな顔をして笑う絢斗くん。 その理由は、私にはわからなかった。 私は何も知らないから。 絢斗くんも私のこと何も知らない。 私も絢斗くんのこと、何も知らないんだ。