「わ、私帰る……!」 「乙葉、」 呼び止める絢斗くんを振り切って走る。 友達の好きな人を奪ってみんなに嫌われてた女なんて、絢斗くんが好きになるわけない。 もう本当に、忘れたい過去だったのに。 絢斗くんにばれてしまった恐怖とか、あの時の辛い気持ちを思い出した悲しさとか、色んなものが混ざって涙が出てくる。 もう終わったのかもしれないって、本気でそう思った。