「……誰、あいつ」




立ち止まった絢斗くんに見つめられて、言葉に詰まる。



「前のクラスメイト、だって」


「それだけでわざわざお前に会いに来たわけ?」


「……」


「昨日会った女と関係あんの?」


「……」



ないとも言い切れない。

だけど風間くんとの関係を話してしまったら、今までのこと全部知られることになるよね。





「なあ、乙葉」

「……なんでもないってば!」




言ってしまってからハッとして後悔したけれど、もう遅かった。


絢斗くんの表情が曇って、「そう」と冷たい声が降ってくる。

間違えた、言っちゃいけないことだった。