・ ・ ・ 「木村さん」 次の日の放課後。 家に帰ろうと校門を出たら、門のところで掛けられた声。 「っ……風間、くん」 相変わらず、爽やかな顔。短めの髪。あまり着崩さないで、綺麗に着た制服。 懐かしいその顔に、ドクンと心臓が鳴る。 「久しぶり、意外と近くの高校だったんだね」 「……久しぶり」 目を合わせることができなくて、思わず後ずさる。 風間くんは申し訳なさそうな顔をして、目を逸らした。