怜也くんが言うには、中庭で透瑠くんと樹くんが、なにやら重い雰囲気で話していたらしい。

聞き耳を立てると、告白しようか悩んでいた様子で……。



「『あんなに可愛い笑顔でお菓子渡しているの見たら、自信なくなってきた』って言ってたよ」



笑顔でお菓子渡すって……。



「それ……私のこと⁉」



お菓子はみんなの教室回って渡しに行ったし、透瑠くんにも教室で渡したはず。

だとすると……。



「さっき先生に渡してたの、見られてたのかも」

「近くにいたんだ……」

「清花ちゃんって、先生のこと好きなの?」

「そういう意味で渡したわけじゃないよ」



1年生の時は委員会を含め、色々お世話になったからお礼として渡した。

2年生は委員会はしなかったけど、お世話になったから渡しただけで、深い意味はない。


っていうか、前に先生のこと話したのに……。



「勘違いさせちゃった……?」

「……かもね」



そんな……っ。まさかお菓子ひとつでややこしいことになるなんて……。