「秘密? 例えば?」

「えっ、そうだな……鏡の前で笑顔の練習をしている、とか」

「へぇ、そうなんだ。初めて知った」



「可愛いね~」とからかわれ、唇を噛みしめる。

黙っていると口角が下がってるから、第一印象を良くしようと思って、小6辺りから時々部屋でやっているのだ。



「で? どうなの?」

「んー、どうだろうね。俺もじっくり見てはないからなぁ~」



恥を晒して聞いてみたけど、答える気なし。



「それか、本当は悪口が書かれていて、気を遣って言わなかった、とか……?」

「それもない。本当に悪口じゃないって。もし書かれてたら真っ先に目に飛び込んでたよ」

「そうか……」



じゃあ一体何なんだよ。

秘密なら……唯一あるとすれば、清花さんが好きってことだけ。

あと他にあったっけ……?



「気になるんなら、早く告白して見せてもらいな」

「……なら! バレンタインデーに告白する!」