「会社でも頑張ってるのに誰にも認めてもらえない。どれだけ頑張っても私を見てくれないの。それどころか陰口叩かれたり、何で私ばっかり我慢しなきゃいけないのか分からなかった」
「辛かったね」
「うん……」
「悲しかったね」
「うんっ……」
「でもね、一番千鶴に言いたいことはーー」
ゆっくりと耳元に顔を動かした先生は、私の耳元でそっと囁いた。
「千鶴、一生懸命頑張っているそんな君のことが……好きだ」
「っ……!!」
突然に言われたその言葉の意味を理解することが出来ず、思わず顔を上げて先生を見た。
そう、見えていなかった暗闇だった私の世界が、いつの間にか彩られていた。
ハッキリと目の前にいる先生の顔が私の視界に写り、流れる涙のせいで少しだけぼやけていた。
「先生……私、先生のこと見える、見えるの……」
「そうだよ、千鶴のことを縛り付けていたのは千鶴の嘘で塗り固められたその世界だったんだから」
嬉しそうに無邪気笑う先生の顔は少しだけ幼さがあって、でも想像していた通り優しそうな顔だった。



