「ああっもう!」
何かを振り切るかのように吐き出してそう言った先生は、今度はいきなり私のことを本当に抱きしめてきた。
「なんでそうやって嘘ばっかり並べるんだよ」
「嘘なんかじゃっ……」
否定する私の言葉をかき消すように、先生は言葉を続けた。
「違う、全部嘘なんだよ。君の、千鶴の気持ちを嘘で塗り替えて、だから見えなくなったんだろ。本当の自分が、自分の気持ちが」
「……」
先生のその言葉に全身に電気が走ったような感覚と、見えない目を思わず見開いた。
伝わってくる先生の温もりを確かめたくて、私は両腕を先生の背中に回す。
「僕の前では素直でいて欲しいって最初にお願いしたでしょ?」
「……うん」
「お願い、もう僕に嘘を着かないで。本当の千鶴の言葉を聞かせて」
優しさを取り戻した先生のその声に促されるように、震える体を先生に預けながら私は本音を呟いた。
「これ以上目が見えなくなったらどうしようって不安で仕方ないの。でもそれ以上に、この生活に終わりを告げるのも寂しくてしょうがないの」
「うん」
大粒の涙が頬を伝って落ちていき、苦しくなっていく呼吸を整えるように先生が背中を撫でる。



