1人になった部屋

あたしは頭を思いっきりぶつけたわりに、記憶は鮮明にある。


頭に石がぶつかったのが最後の記憶



そう言ったけど


実はもう少し意識はあった



ビチョビチョに雨で濡れた泉が、あたしを探し出してくれたのも覚えてる。


あの時は本気で死んだと思った
全身の感覚がなくて、身体が冷めていくような感覚になってた。

あー死ぬなって思った


泉は泣いてた
あたしの姿を見て

ごめんな


そんな顔させてごめん



だから最後に思い出したんや
泉とした約束を。

全て終わったら聞いてほしいことがあると言われてた。


このまま死んだら

聞いてあげれへんなって思った


最後の力を振り絞って泉に手を伸ばし、話を聞けなくてごめんって……言った



そこからほんまに身体は動かなくて、多分意識を失いかけてた。

泉の声に反応もできひん
指一本も動かへん


意識がなくなるその寸前



泉はあたしに必死に語りかけた。



その言葉は鮮明に覚えていて、あたしの顔を赤くさせるのに充分すぎた。