四宮さんの誕生日パーティーは、氷室さん宅で十九時から開催された。

テーブルに並んだメニューは、生春巻きに、ピーマンとにんじんの肉巻き、照り焼きソースをかけたつくねのハンバーグ。それに、筑前煮。

レタスを中心にしたサラダには豆苗と刻んだ玉子を入れ、シーザードレッシングをかけた。

そこに四宮さんが持ってきてくれたローストビーフの握り寿司を並べると、とても豪勢な食卓が出来上がり、今日の主役は四宮さんだというのにワクワクしてくる。

冷蔵庫には氷室さんが買ってきたケーキが入っているし完璧だ。

なにか誕生日プレゼントを、と考えたものの、四宮さんの好みがわからなかったので形に残るものは避け、無難に予算一万円ほどでシャンパンを二本買った。

氷室さんが「これプレゼント」と、四宮さんにポンと放った正方形の箱の中身は腕時計で、てっきり小学生男子みたいな発想でくだらない物を選ぶとばかり思っていただけに驚いた。

しかも私も名前を知っているほどのハイブランド。

それをポイッとタオルでも投げるように渡す氷室さんにも、そんな高級な腕時計を「これ、確か限定だっただろ。よく手に入ったな」と普通に受け取る四宮さんも、私とは違う生活レベルで過ごしている人たちなんだと再確認した。