そんな教室をじっくり、じっくりと見回す。


そして窓辺へ視線を移した瞬間、あたしは「あ!!」と、大きな声を張り上げた。


クラスメートたちがビクリと体を震わせてあたしの視線を追いかける。


「なになに!? なにかいたの!?」


ノドカは身を乗り出して聞いてくる。


あたしは深刻な表情を作り、うなづく。


「な、なにがいたの?」


ノドカが緊張して、ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえてきた。


「窓の向こうに血まみれの女の子が見える」


あたしの答えにクラスメートたちが悲鳴をあげて窓から遠ざかった。


「たぶん、あたしたちと同じ中学1年生の子だよ。入学してすぐイジメられるようになって、飛び降り自殺した子みたい」


滔々と語るあたしに「やめてよこわいから!」と、あちこちから声が上がる。
あたしはジッと窓辺を見つめた。


そこにはなにもない。


実はあたしの目にも何も映っていなかった。