「いや、見てない」


そう返事をしたのは2年4組の森田文夫(モリタ フミオ)だった。


文夫とは1年生の頃同じクラスだったから、今でも友達だ。


「先生も他の生徒たちも、部屋にはいないみたい」


後ろから来た大塚ミヅキがそう言った。


ミヅキは2年3組の生徒だ。


派手な化粧と大きなピアスが印象的な生徒だけれど、今は両方ともとられていていつもより幼く見える。


「部屋を見て回ったの?」


綾がそう聞くと、ミヅキは頷いた。