【web版】好きでいてもいいですか?-ひきこもり令嬢に購入された奴隷の話-(コミカライズタイトル:ひきこもり令嬢は購入した奴隷に溺愛される)

 
 自分の部屋。初めて用意された、一人だけの部屋。まるで客人のような扱い。

 ジワジワと胸の奥が熱くなって、それと同時に苦しくなる。にやけてくる唇は嘘じゃないのに、コイツらだけが当たり前のように持っている空間に憎しみが募る。

 ツンと尖ったイザベラの鼻を思い出した。へし折ってやりたい。何にも知らない世間知らずを、オレの啜ってきた世間の泥で汚したい。苦しさや辛さを知らないような、お嬢ちゃまを泣かしてやりたい。

 オレは乱暴に上着を脱ぐと、ベッドに投げつけた。
 イザベラの部屋に行こう。そうして今すぐにでも片をつけて、明日には自由の身だ。

 ツカツカと石造りの廊下を小走りにイザベラの部屋へ向かう。
 ドアの前で息を整え、営業スマイルを張り付けた。場数は踏んでる。わかってる。女がどんな言葉を望むか、どんな男を欲しがるか。

 例えば、初恋の人。例えば、失った夫、結ばれない憧れの人。

 だから、オレはそれを演じる。そいつらに言って欲しかった言葉を吐く。誰も、オレなんか欲しがってない。