おかしくない? レオが友人を作るのを応援するはずだったのに、なぜ私は、レオに友人作りの邪魔されているのだ。
「ちょ、痛いって。あの、ローレン様ごきげんよう。また明日!」
レオに引っ張られながら、なんとか挨拶だけはする。ローレンは引きつったまま手を振り返してくれた。そして、〝婚約〟という言葉に、周囲の女生徒たちはどよめいていた。きっと明日には全校中に広まってしまうだろう。
「乗れ」
「これ王家の馬車でしょう? 私にはうちの迎えが来るはずだけど」
「大丈夫だ。俺が送ると言ってある。いいから一緒に乗れ。俺の疲労を少しは癒してやろうと思わないのか」
一体、どんな目に遭ったのか。顔色も悪いし、学園生活初日は大変だったのかな。
仕方なく話を聞くために一緒の馬車に乗る。さぞかし愚痴が飛び出すのかと思ったら、レオはふたりきりになったとたん、安心したように大きく息をつき、そのあとは何も話さなかった。なんだよ。せっかく聞くモードになったというのに。
私は私で、ちょっと不貞腐れていた。
「ああー。明日からまた面倒くさいなぁ」
「なぜだ。婚約中だと宣言しておけば、余計な面倒が増えないだろう」
「レオはね。私はやっかまれるから面倒が増えるんだよ」
「やっかみって……なにをされるんだ?」
愚痴ってみたけれど、ピンとは来ていないみたい。まあ仕方ないか、箱入りのお坊ちゃんだもんなぁ。
「俺は悪いことをしたのか?」
「……ううん。そうじゃない。気にしないで、ごめん」
しょぼくれた顔をされたら、こう言うしかないだろう。レオが私を傷つけようとは思っていないことくらい、理解できるもん。
「ちょ、痛いって。あの、ローレン様ごきげんよう。また明日!」
レオに引っ張られながら、なんとか挨拶だけはする。ローレンは引きつったまま手を振り返してくれた。そして、〝婚約〟という言葉に、周囲の女生徒たちはどよめいていた。きっと明日には全校中に広まってしまうだろう。
「乗れ」
「これ王家の馬車でしょう? 私にはうちの迎えが来るはずだけど」
「大丈夫だ。俺が送ると言ってある。いいから一緒に乗れ。俺の疲労を少しは癒してやろうと思わないのか」
一体、どんな目に遭ったのか。顔色も悪いし、学園生活初日は大変だったのかな。
仕方なく話を聞くために一緒の馬車に乗る。さぞかし愚痴が飛び出すのかと思ったら、レオはふたりきりになったとたん、安心したように大きく息をつき、そのあとは何も話さなかった。なんだよ。せっかく聞くモードになったというのに。
私は私で、ちょっと不貞腐れていた。
「ああー。明日からまた面倒くさいなぁ」
「なぜだ。婚約中だと宣言しておけば、余計な面倒が増えないだろう」
「レオはね。私はやっかまれるから面倒が増えるんだよ」
「やっかみって……なにをされるんだ?」
愚痴ってみたけれど、ピンとは来ていないみたい。まあ仕方ないか、箱入りのお坊ちゃんだもんなぁ。
「俺は悪いことをしたのか?」
「……ううん。そうじゃない。気にしないで、ごめん」
しょぼくれた顔をされたら、こう言うしかないだろう。レオが私を傷つけようとは思っていないことくらい、理解できるもん。



