「……しつこいな。なんなんだ」

 仏頂面で顔をしかめられても今回ばかりは怯むもんか。陛下にも頼まれてるし、レオを心配しているからこそ言っているんだから!

「レオにとって必要だと思うから言っているんだよ」

「勉強ならここでもできる」

「勉強だけが大事じゃないでしょう? レオは王族なんだし、信頼できる側近を育てるためにも、今のうちから友人関係を作っていかなきゃダメなんだよ。学園に通えるのは、あと一年しかないんだよ」

 陛下からの受け売りをそのまま伝える。するとレオは嫌そうに眉を寄せた。

「……女がたくさんいる。すぐ体調を崩すようではまともに生活できない」

「それは、まあそうだけど。以前に比べればよくなっているってクロードから聞いてるよ? おんなじ空間にいるくらいは大丈夫なんでしょう? 要は触られなければいいわけだし。それこそ、私と鍛えた瞬発力でさっと避けなよ。それに、楽しいこともたくさんあるよ。制服だって着てみたいって思わない? それに、毎年四回、季節の終わりにはダンスパーティもあるよ」

「は? おまえ、それ、誰と踊ってるんだ?」

「誰って……課題のダンスは身長順で踊らされるけど。パーティでは別に踊らなくてもいいんだよ。だからレオでも大丈夫。そこでだされる料理がね、すっごくおいしいんだよ。ケーキとか絶品!」