ごろん、と草の上に転がると、レオは呆れたように笑って、自分も隣に転がった。

「リンネらしいな。だからおまえはよく走るのか?」

「んー。だって、なにもできないって思って泣いてるよりずっといいから」

 そう、根拠はないけれど、広い空を見ていると、なんか大丈夫って気がするのだ。

「だから大丈夫。レオも大丈夫。絶対に大丈夫」

「適当だな」

 そう言いつつも、レオは私の前髪を軽く触った。

「汗で張り付てるぞ、格好悪い」

「ほっといて」

「……嘘だよ。格好いい。おまえは」

 風が体の表面を撫でていって気持ちいい。

「ずっと助けられてる。……ありがとう」

 レオが、ぽつりと言った。

 お礼なんて、言われる覚えないのに。どちらかと言えば無理やり引っ張って走らせているのだから、怒られる覚えのほうがある。なのにそう言ってくれるレオの気持ちを想うと胸が熱くなってくる。ああ、目のあたりも熱い。やだなぁ、格好悪い。

「ん」

 今は多くを話すと泣いてしまいそうで、私はそれだけの返事をした。

 広い空に神様がいるのなら、一生に一度くらいお願いを聞いてくれないかな。
 どうかレオを助けてください。彼を長生きさせてください。それが叶うなら、私はもう何もいらないから。