小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました

 レオはいきなり起き上がると、自分の隣をポンポンと叩く。
 たしかにさっきより顔色はいいけれど、から元気を装ってみても仕方ないと思うのよ。
 そういうところがまだまだ子供ねって思いながら、私は大人になって折れてやった。まあ実際、実年齢プラス十七歳と考えれば私の方が大人なはずだ。

「さっきみたいに、突然、気持ちが悪くなることって、よくあるの?」

 聞いてみると、レオはクロードと顔を見合わせて目配せした。あら? これは聞いてはいけないやつだったのかな。

「えっと、言いにくいなら別に……」

「……いや、そうだな。おまえには話してなかったんだったな」

 答えたのはレオで、そのまま黙って続きを待っていると、続けるようにクロードが口を開けた。

「レオが引きこもりの人間嫌いだって、前に言ったの覚えている?」

 私が頷くと、「あれ、実はちょっと違うんだよ」と苦笑する。

「本当は、大人子どもに関わらず、女性が駄目なんだよ。体に触れられると気分が悪くなるんだ。ね、レオ」

 へーそれは大変な……って、いやいや。待って? 私、結構触っているよね。最初に会ったとき、服脱がせちゃったし。さっきもおでこ触ったけど平気そうだったじゃん。
 私は思わずレオを睨んでしまった。

「じゃあ私はなに? 私も女だけど!」

「リンネはなんというかこう……規格外だから」

「は? 規格外ってなに?」

「俺の知っている女は、突然走り出さないし、大口開けて菓子は食べないし、顔に皺が寄るほど大笑いしない」

「うわー。女じゃない発言入りました!」

 しんみりした気分が一気に吹き飛んだ。
 私達は友達だから、性別なんて気にはしてないけれど、まさか女枠にさえ入っていなかったとは思わなかったよ。