横を見ると、いつの間にかローレンが消えている。首を巡らせて探してみれば、彼女はなぜか王妃様の隣に移動していて、楽しく歓談しているじゃないか。どういうこと! 助けてローレン!
「リンネ様、こちらを向いてください」
「なんて綺麗な瞳でしょう。どうかそこに私を映してください」
「えっと、あのあのあの」
経験値が無いから、テンパってきた。こういうときのあたりさわりのない会話ってなに?
「こんなに美しい女性が婚約者とはレオ様が羨ましい」
「レオ様はリンネ様にぞっこんなんですってね」
普段は嫌味を言ってくるどこぞの侯爵夫人まで! どうしたの、あなたいつもなら、美形のレオに引っ付きまわっているゴミのような伯爵令嬢だってけなしているでしょうが。
「どうぞ、私と踊ってください、リンネ様」
一歩前に出てきたのは、金髪の男の人だ。紳士的に手を伸ばされるけど、目がぎらぎらとしていて、なんか怖い。これって断ってもいいもの? どうしよう、困ったよー、助けて、レオ!
「すみません、お嬢さん」
その声に、人波が開く。やってきたのはレオではなく、なんと今日の主役であるライリー・ブレイン様だ。
「具合が悪そうだ。こちらに」
「え?」
ライリー様は、有無を言わせず私の腕を引っ張っていく。
「あ、おい待て」
レオの声が聞こえたけれど、再び人波が道を塞いでしまう。ライリー様は、にっこりと笑うと、広間の扉を指先だけで閉めた。
「え、嘘」
大きなあの扉がそんなに簡単に閉まるはずがない。もしかして、これも魔法?
そう思って見上げたら、「ご明察、これが魔法ですよ、お嬢さん」とライリー様は片目をつぶった。
「リンネ様、こちらを向いてください」
「なんて綺麗な瞳でしょう。どうかそこに私を映してください」
「えっと、あのあのあの」
経験値が無いから、テンパってきた。こういうときのあたりさわりのない会話ってなに?
「こんなに美しい女性が婚約者とはレオ様が羨ましい」
「レオ様はリンネ様にぞっこんなんですってね」
普段は嫌味を言ってくるどこぞの侯爵夫人まで! どうしたの、あなたいつもなら、美形のレオに引っ付きまわっているゴミのような伯爵令嬢だってけなしているでしょうが。
「どうぞ、私と踊ってください、リンネ様」
一歩前に出てきたのは、金髪の男の人だ。紳士的に手を伸ばされるけど、目がぎらぎらとしていて、なんか怖い。これって断ってもいいもの? どうしよう、困ったよー、助けて、レオ!
「すみません、お嬢さん」
その声に、人波が開く。やってきたのはレオではなく、なんと今日の主役であるライリー・ブレイン様だ。
「具合が悪そうだ。こちらに」
「え?」
ライリー様は、有無を言わせず私の腕を引っ張っていく。
「あ、おい待て」
レオの声が聞こえたけれど、再び人波が道を塞いでしまう。ライリー様は、にっこりと笑うと、広間の扉を指先だけで閉めた。
「え、嘘」
大きなあの扉がそんなに簡単に閉まるはずがない。もしかして、これも魔法?
そう思って見上げたら、「ご明察、これが魔法ですよ、お嬢さん」とライリー様は片目をつぶった。



