だけど、次々湧き上がる疑問が、決意を鈍らせる。
本当に私で大丈夫なの? 小説のヒロインはローレンなのに。
もしここで失敗してしまったら、目の前でレオが死んでしまうかもしれない。私のせいで、全てが駄目になってしまったら、どうすればいい?
手が震えてしまうのが止められない。恐怖に負けそうになる。だけど頑張らなきゃいけないと、理性が私に語り掛ける。
恐怖と勇気が天秤に乗っているみたい。ぐらぐらと揺れて、気持ちが定まらない。
「リンネ」
横になっているレオから、私を呼ぶ声がして、意識がようやく自分の心から外に向いた。目の前の彼は、紫水晶みたいな瞳に泣き出しそうな私を映して、手を差し伸べてくれていた。
「レオ……大丈夫?」
「それは俺が言いたい。おまえ、大丈夫か」
額に汗を浮かべ、苦しそうにしながらも、レオは私に微笑みかける。それは覚悟を決めたような穏やかな顔で。その顔を見ていたら、ふいに恐怖の方に心の天秤が傾いた。
怖い。失敗して、レオを失うことが怖い。彼の顔を見られなくなったら、私は絶対平気でいられなくなる。私は悪役令嬢だもん。彼を助けることなんて、できるわけがない。
「ど、……しよ、レオ。怖い」
タガが外れたように、涙がボロボロと落ちていく。レオの頬にも。なのに彼は自分についた涙は気にもしていないように、私の目尻の涙を掬う。それはひどく、優しい手だった。
本当に私で大丈夫なの? 小説のヒロインはローレンなのに。
もしここで失敗してしまったら、目の前でレオが死んでしまうかもしれない。私のせいで、全てが駄目になってしまったら、どうすればいい?
手が震えてしまうのが止められない。恐怖に負けそうになる。だけど頑張らなきゃいけないと、理性が私に語り掛ける。
恐怖と勇気が天秤に乗っているみたい。ぐらぐらと揺れて、気持ちが定まらない。
「リンネ」
横になっているレオから、私を呼ぶ声がして、意識がようやく自分の心から外に向いた。目の前の彼は、紫水晶みたいな瞳に泣き出しそうな私を映して、手を差し伸べてくれていた。
「レオ……大丈夫?」
「それは俺が言いたい。おまえ、大丈夫か」
額に汗を浮かべ、苦しそうにしながらも、レオは私に微笑みかける。それは覚悟を決めたような穏やかな顔で。その顔を見ていたら、ふいに恐怖の方に心の天秤が傾いた。
怖い。失敗して、レオを失うことが怖い。彼の顔を見られなくなったら、私は絶対平気でいられなくなる。私は悪役令嬢だもん。彼を助けることなんて、できるわけがない。
「ど、……しよ、レオ。怖い」
タガが外れたように、涙がボロボロと落ちていく。レオの頬にも。なのに彼は自分についた涙は気にもしていないように、私の目尻の涙を掬う。それはひどく、優しい手だった。



