…コン

ん…??

コン、コン…

何…??

気のせい、かな??

………

コン、コン

誰かドアをノックしている…??

気のせいじゃない。

重い体を起こす。

ダウンを着たまま、眠ってしまっていた。

ホテルの人??

アタシの部屋に誰か来るなんて??

まだハッキリとしない意識の中、暗闇に慣れてきた意識の中ドアを開けた。

「…はい…。」

「…万桜。」

ヒロ先輩だった。

「…ヒロ…先輩…??」

「寝てた??ごめん。」

「…あ、いえ、何かありましたか…??」

瞬間、頭がズキズキした。

「先に帰ったって聞いてさ。具合悪いのか??
…ヒドイ顔してるぞ。」

アタシは一生懸命瞬きした。

「…そう、ですか??」

「大丈夫か??」

ヒロ先輩はドアを押さえたまま。

「風邪引いちゃったのかな…。」

本当は、大丈夫じゃなかった。

長い手が伸びてきて、アタシのオデコに触れた。

「熱いじゃん!!熱あるよ!!」

別の感情がドキドキと音をたてた。