…マジで怖いらしい。

万桜、これに乗ってから固まってるし。

下を向いたまま、顔を上げようともしない。

俺の胸の中で静かに呼吸だけが聞こえる。

流れている音楽も、彼女の耳には届いていないだろう。

「早く言えば良かったのに。」

「…だって、そんな雰囲気じゃなくて…。」

「あ~アコチャンね。あの子、旬磨の事好きなんだろ??」

ちょっと頭を上げた。

「分りますか??」

でも万桜は、俺を見ようとしない。

「まあね、万桜めちゃ気イ使ってるからね。」

「二人っきりで緊張してないかな??」

「…そんなに旬磨の事気になる??」

わざと意地悪く聞く。

「…そうじゃないですけど。」

やっと顔を上げた。