「ひっ…!」


私が抵抗しないことがわかったのか、手はどんどん下に下がって行って。


スカートの中まで入ってきた。


「やっ、だ!」


小さく声を出してもやめてくれない。


怖いっ…。


…だ、誰か助けて!


目をぎゅっと瞑って、心の中で叫ぶ。




その時。



「おい、なにしてんの」



少し掠れた低い声が聞こえた。



え?



あたしのお尻にあった手を掴んでる男の人の姿があった。



「いっ、ててて!…いきなりなにするんだ!?」


四十代半ばくらいのおじさんが彼を睨む。


「は?それはこっちのセリフ。今、この子になにしてたんだよ?痴漢」


その彼の言葉に、周りの人がヒソヒソと話す。


「嫌だ、痴漢だって」


「うわ、最悪」


「あっ、あいつ前も女子高生に痴漢してなかったっけ?」


周りの反応におじさんも焦り始める。


「お前がっ…そんな格好で電車に乗ってるからだろう!?」