「あー、夏っぽいことしたい」
唐突に、三琴先輩はそんなことを言いだした。
「アイス食べてましたよね」
「アイスは年中食べれるじゃん。受験を理由にして青春を潰したくもないんだよなぁ」
「えーじゃあ花火とかですか?」
「そうそう。てか花火と言えば、来週花火大会あるよね。紘菜ちゃんは誰かと一緒に行くの?」
花火大会は毎年翔斗と行っていた。
翔斗のために浴衣を着て、髪形も凝って、下駄が痛いのも我慢して“最高に可愛い私”をつくりあげていた。
翔斗は、今年はきっと彼女と行く約束をしているのだろう。想像すると、すこしだけ胸が痛んだ。
「…行く予定はないです」
「エナちゃんとも?」
「エナちゃんは人込みが嫌いなので……多分誘っても断られます」
三琴先輩はだれかと行くのだろうか。
寛太先輩とかかな。
いや、別れた今、先輩のことを狙っている女の子はたくさんいるだろうし、そのうちの誰かともうすでに行く予定があるのかも。
───…って、思ってたんだけど。
「じゃあ、俺と行こ」



