促されるままに隣に移動し、まるで保護者みたいなことを言う先輩の言葉に耳を傾ける。
家に続く道は、暗いとはいえ街灯がある廃れているわけでもないので、特別危険性が高いわけでもない。
やさしいから心配してくれているんだなあ…。
「紘菜ちゃんかわいいんだし、危険はなるべく切り離していかないと悪いひとにつかまるよ」
その言葉に、思わず「え…」と声を洩らす。
「何その顔」
「え、いや、今かわいいって」
「うん。紘菜ちゃんかわいいでしょ」
「いやいや、先輩何言ってるんですか、勉強のしすぎですよ」
「俺なんか変なこと言った?紘菜ちゃんこそバイトのしすぎじゃねえ?」
――かわいいでしょ
変だよ。変なことしか言ってないよ、先輩。
かわいいなんて、翔斗は一回だって言ってくれなかった。私のこと可愛いって言ってくれるのはお母さんと時々エナちゃんくらいだ。



