ずるいよ先輩、甘すぎます








「三琴先輩」




22時5分。


タイムカードを切って秒速で着替えた私は、急いでお店を出て、郵便ポストの横で棒アイスをたべる彼の名前を呼んだ。




私の声にこちらを振り向いた三琴先輩は、「おつかれー」と言ってへらりとわらう。

柔らかい雰囲気に、バイトのつかれが一瞬で吹き飛んだような気がした。




「かえろっか」

「はい」



前にカフェに一緒に行ったときに家まで送ってもらったことがあるからか、道は覚えてくれているみたいだ。


あたりまえのように私の家に向かう道を進む三琴先輩のあとに続いていると、「紘菜ちゃん」と名前を呼ばれた。



「後ろじゃなくてさ、隣歩いて」




夜の澄んだ空気に、三琴先輩のやわらかい声がおちる。




「…あ、わかりました」

「つーか紘菜ちゃん、もしかしてバイトある時、いつもこの時間に一人で歩いて帰ってる?」

「はい」

「えー、普通に結構あぶねーよ?それ」