ずるいよ先輩、甘すぎます








「ていうか真渡くん仕事してくれる?」

「客いないし。それに俺らもうすぐ上がりじゃん。急ぎの仕事ないでしょ」

「そうだけど…」




ただいまの時刻は21時50分。

あと10分もすれば夜勤の人がやってくる。




とはいえ、残りの数分を真渡くんとのおしゃべりに使うのもなんだか気が引けたので、トイレ掃除でもしてくるかー…と、レジを離れようとした時、ウィーン…と静かに自動ドアが開いた。





「いらっしゃいま…」

「あれ。紘菜ちゃん」




「やっほ」とかるく右手を挙げて微笑んだ彼――三琴先輩。



Tシャツに、白のラインが入ったスウェットを履いている。あきらかにオフモードの彼はにこにこしながらレジにやってきた。