あの日、花火大会の後。
気まずい空気を纏ったまま、私たちは帰路についた。
家まで送ってもらったことは覚えているけれど、なにも話せなかった。
ただ無言のまま家に着いて、「じゃあ、また」という短い挨拶をして、そこからは音沙汰なしだ。
「…紘菜ちゃん、どっかいきたいとこある?」
「え、…いや、とくには」
「じゃあ、適当にどっか入ろう。改札のとこにあるカフェでもいい?」
「あ、はい」
先輩が提案をしてくれた。
改札口の近くにあるカフェは、プリンが美味しくて有名なところだ。何回かエナちゃんと一緒に行ったことがある。
おちついた雰囲気のカフェで、ゆっくりお茶をするには快適な場所。
「……この間のこと、ちゃんと話したい」
三琴先輩がそのカフェを選んだ理由がよくわかった。



