「ねえ、もしかして振られた?」
今日一日、ざっと数えても10回は聞かれている。
空気の読めないチャラ男くんは、言葉を選ぶことができないらしい。
どんよりとしたオーラを隠しきれていない私自身が悪いのもわかる。
けれど、女の子が落ち込んでいたらそっとしておくか、もしくは言葉を選びながら話を聞いてあげるのがモテる男なんじゃないのか。
真渡くん、顔はかっこいいのに残念だ。
あまりにも空気が読めなさ過ぎている。
「…、そんなんじゃないよ。ていうか別に告白とかもしてなかったし」
「やっぱあの先輩のこと好きなんだ」
「…はあ?違うって」
「でも、告白してなかったって、いつかするつもりはあったんじゃないの?」
上がる時間まであと5分を切った。
いつものことではあるけれど、タイムカードを切ったら早急にお店を出よう。真渡くんに話すことはないし、話したとしても同情されるのはなんだか癪だ。
そう思っている。いや、そう思っていた。
───今、この瞬間までは。



