ベルンが泣くのを俺は初めて見た。剣の打ち合いで叩かれた時だって、気の立った羊にかまれた時だって、ハチに刺された時だって泣かなかったベルンが泣いた。 あの子たちは、ベルンの冗談のような『私たちだけの秘密だからね!』という言葉を守ったのだ。 どうしてそんなことができるのだろう。だって、相手は大人で、貴族で、領主で。ベルンより絶対に強いのに。