突然に広がるまばゆい草原。キラキラと光が跳ねた。
 緑の牧場に散らばる白い綿毛は羊なのだと父上は言った。
 牛が伸び伸びと草をはむ。
 馬も裸のままで群れていた。
 息を飲んで外を見ていれば、青毛の馬がこちらへ駆けてくる。
 馬上には、青い髪の男の子がちょこんと乗っていた。

 あんなに小さくても乗れるんだ。俺と同じくらいじゃないか。

 驚いていると、父上が意地悪く笑った。
 つまらなくなんかないぞ、そう言いたげな顔だ。

「あれが、ベルンシュタイン・フォン・アイスベルクだよ。これからお世話になる家の子だ」

 そう言って、彼に軽く手を振って見せる。
 彼も答えるように手を振って引き返した。きっと屋敷に戻るのだろう。

 同じくらいの年の子がいると言っていた。
 彼はすでに乗馬ができるのだ。
 ワクワクと唇が上がってくるのを感じていた。