私はベルンシュタイン・フォン・アイスベルク。
 士官学校の二年生だ。今年十七歳になった。現在、王国の騎士を務めている。家は代々軍部に関わる侯爵家だ。現在父は王国元帥の参謀で、宮廷内に正式な役はない。要するに、貴族としての格は高いが、実権力は皆無。

 王国の双璧と並び称されるお互いの父たちは仲が良く、家族ぐるみの付き合いが当たり前になっていた。私とフェルゼンは、小さいころから同じように学び、同じように鍛え、同じように悪戯をしてきた仲なのだ。

 今日は新年の剣舞をコロッセオで舞ってきたところだ。
 コロッセオの更衣室へ幼馴染のフェルゼンと一緒に戻り、鏡の前に並んで立てば、鏡越しにフェルゼンと目があって、自然と笑顔がこぼれた。

 幼馴染のフェルゼンは、190センチ近い高身長に、太陽の光を感じさせる褐色の肌。しかも整った甘いマスクだから、令嬢たちに人気だ。大胆不敵、それでいて人当たりの良い性格なのに、家柄は侯爵で、しかも本人は王国騎士、父は王国の元帥閣下という貴族中の貴族なのだ。