「私はフェルゼン・フォン・ヴルカーンです。今年五歳になりました」

 フェルゼンはかしこまった話し方で挨拶をした。

「私はベルンシュタイン・フォン・アイスベルク。同じ年なのね。よろしくお願いしますわ」

 私もワンピースの裾をちょこんとつまみ、淑女の礼をした。
 するとフェルゼンは、大きな瞳をさらに大きくして私を見つめた。

「ベルンシュタイン? お前がベルンシュタインなのか?」
「ええ」
「さっき馬に乗っていた?」
「ええ、先ほど馬で馬車を見に行ったのは私です」
「男じゃ……なかったのか」
「よく間違えられます」