「勘弁してくれよ! 俺はお前一筋だぜ?」

 にやにやと笑って、肩を抱いてくるからピシリとその手を叩く。

「運命の人を探すのはいいけれど、誰彼構わず口説いてるって誤解されると信用無くすよ」
「まったく、クールな騎士様は手厳しい」

 フェルゼンはなぜか苦笑いした。

 苦笑いなんかしている場合ではないと私は思う。
 チャラさえなければ、フェルゼンはお姉様にすすめてもいいくらいに、いい男なのだ。
 惜しい。


 シャンデリアの光。軽やかな音楽。さざめきあう笑い声。
 豪華絢爛な新年を祝う夜は、だんだんと更けていった。