「やっぱり、太陽の騎士様は雄々しくていらっしゃる」
ため息交じりの感嘆が漏れる。
「あら、宵闇の騎士様は優雅でいらっしゃいますわ」
「なんといってもお二人が並び立つからこそ、美しいのです」
「確かにそれは言えますわね」
「太陽の騎士様の力強さが宵闇の騎士様の繊細さを引き立て」
「宵闇さまの儚さが、太陽さまの激しさを際立たせる……」
ご令嬢たちのため息がコロッセオに満ちた。
だが、観客席の誰も知らないのだ。
宵闇の騎士こと、ベルンシュタイン・フォン・アイスベルクが、実は侯爵令嬢だということを。
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