今日はベルンと王宮に呼ばれている。ベルンは引き籠もり侯爵の末娘で、いつもは辺境の領地に住んでいて、王都にはめったに出てこない。
 俺たちは来年から幼年学校に入学する。そのためのに手続きでベルンは王都に来ているのだ。今年の夏はいつもより長めに王都に滞在できるらしい。
「フェルゼン、待ってたよ!」
 乗馬服姿のベルンが屋敷のドアから飛び出してきた。
「じゃ、行くぞ」
 俺はベルンの手を引っ張って、我が家の馬車に詰め込んだ。
 そうやって二人で王宮へ向かう。今日は王宮の森でシュテルと乗馬を楽しむことになっていた。