「どこから見てたのさ」

 ツンと答えれば、肩をすくめる。

「ご機嫌斜めだな」
「べつに? 運命の相手は見つかった?」

 フェルゼンは運命の相手を探すために、お嬢様方に声をかけていると聞いたことがある。

「気になる?」
「刺される前に落ち着いて欲しいとは思う。でも、姉上はダメだからね」
「シスコン」
「否定しない」

 フェルゼンから受け取ったグラスに口を付ける。ピンク色の冷たい液体はシュワシュワと泡だって綺麗だ。
 一息ついてホッとする。何時だってフェルゼンは欲しいものをくれる。