【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


「卒業おめでとうございます」
「ありがとう、署名集めてくれたんだってね。シュテルから聞いたよ」

 クラウトは困ったような顔をしてユルユルと頭を振った。

「私はただ集めただけで、みんな直ぐに書いてくれました。ベルン先輩に助けられたと、世話になったと」
「……そう、嬉しいな」

 仲間だから当たり前なことだけど、そう思ってもらえるのはやっぱり嬉かった。

「ベルン先輩、記念に候補生章を交換していただけませんか?」

 士官学校に在学中は士官候補生とわかるピンをつける。それを卒業式に先輩と交換するのは伝統だ。

「良いけど、私ビリ卒業生だよ? 首席のピンと交換して大丈夫?」

 笑って尋ねる。