「卒業おめでとうございます」
「ありがとう、署名集めてくれたんだってね。シュテルから聞いたよ」
クラウトは困ったような顔をしてユルユルと頭を振った。
「私はただ集めただけで、みんな直ぐに書いてくれました。ベルン先輩に助けられたと、世話になったと」
「……そう、嬉しいな」
仲間だから当たり前なことだけど、そう思ってもらえるのはやっぱり嬉かった。
「ベルン先輩、記念に候補生章を交換していただけませんか?」
士官学校に在学中は士官候補生とわかるピンをつける。それを卒業式に先輩と交換するのは伝統だ。
「良いけど、私ビリ卒業生だよ? 首席のピンと交換して大丈夫?」
笑って尋ねる。



