【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


 司会者によって卒業式の開会が宣言される。卒業式は、任官式でもある。
 在校生が整列する講堂の中を卒業生が歩いていく。割れんばかりの拍手が高い天井にまでワンワンと鳴り響く。

 ステンド硝子からは柔らかい春の日差しが降ってきて、門出を祝っているかのようだ。

 国家の斉唱に続き、校歌の斉唱。優雅な国家に比べて、士官学校の校歌は猛々しい。

 卒業年度の入ったメダルと任官の証のマントの授与が始まる。卒業生全員が一人ずつ名前と在籍中にあげた功績を読み上げられる。その後、新しい配属先を任じられ各師団章を胸に付けられるのだ。

 まずは首席のシュテルからだ。シュテルの新しい配属先は第7師団、南方でお兄さまがいる部隊だ。フェルゼンは第4師団で北国へ回る。みんな離れてしまう。

 粛々と名前が呼び上げられる。出席日数がギリギリの私は、最後の最後に名前を呼ばれた。