【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


「帰ってこれてよかった」

 ホロホロと涙が頬を伝う。

「当たり前だろ」
「俺たちみんなベルンに助けられたんだ」
「今度は俺たちが助けるに決まってる」

 当然のように帰ってくる声に胸が熱くなる。

「本当にありがとう!」

 もう一度言えば、みんな笑った。

「逆に遅くなってごめんね」

 シュテルが私の背中を撫でた。
 私は頭を振った。十分だ。卒業式に間に合っただけで、十分だ。


「卒業生は集まってください」

 クラウトが声を張り上げる。私たちはそれに従って講堂の前に集まる。卒業式が始まるのだ。