高くて厚い木の扉を、震える手のひらで押した。こんなに重いものだと思わなかった。

 扉が開く鈍い音が響く。

 目の前に広がった光景に息をのんだ。
 門の両側には、ずらりと並んだ儀状服に身を包んだ士官学生たち。
 皆、外へ出て待っていてくれたのだ。

「おかえりベルン」

 フェルゼンが手を伸ばす。

「ベルン先輩、おかえりなさい」

 クラウトが笑った。

 口々におかえりの声が響く。
 熱いものが胸にこみあげてきて、思わず涙がこぼれた。

「ありがとう……!」

 許してくれてありがとう。