シュテルに連れられて士官学校へ帰る。今日は卒業式だ。卒業式に間に合うようにと奔走してくれたらしい。

 久々に袖を通した儀状服(ぎじょうふく)は少し胸がきつかった。胸苦しさがこみ上げてきて、指先がかじかむ。シュテルは許してくれたけど、士官学校の皆は、ずっと嘘をついていた私を迎え入れてくれるだろうか。

 門の前に立ち止まり、馬から降りる。大きく息を吐いた。誰も窓から顔を出さない。それがすべての答えのようだった。

 私を拒絶するように閉じられた寮の窓。アイスベルクからシュテルを連れて帰ったあの日は、みんな窓から顔を出して手を振っていてくれたのに。

「大丈夫だよ」

 シュテルが私の背を押した。
 大丈夫、そうだ、大丈夫。きっと大丈夫。